いつものように写真撮影は禁止ですので、これ以降写真は一切ありません。記憶を頼りのイラストなどを掲載しますが、正確性は全く保証できませんので、あくまでも参考ということでご覧ください。また時間の都合で全部の展示が見られたわけではありません。印象に残った部分だけのレポートとさせていただきます。


今回の展示のテーマは、「つながる」ということだそうで、どちらかというとハードよりソフト面が強調された展示だったと思います。これはプロテックでも見られた傾向で、他社AOI等との連携を前面に打ち出していました。

展示ブースは大まかにAからFまでのエリアに仕切られ、入り口から右回りに順路が設定されていました。最初の大きな展示がCブースのつながるというテーマのデモラインです。NPMが中心ラインで前後にコーヨンの印刷検査機とティーアールアイのAOIが接続されそれぞれデータをやり取りして前工程の制御を行っているということでした。

以前のパナソニックは、自社でSMTにかかわる設備すべて、コンベアからリフロー、検査装置までそろえられたのですが、現在では、印刷機とマウンターしか自社ブランドでの提供ができなくなっています。そのため、他社設備との接続が多くなり、データをやり取りする場面が増え、様々なメーカーとの協調が必須となってきています。今回AOIでの世界シェアの大きなメーカーさんと強調できるというアピールがされていたのではないかと思います。またここでは、設備だけでなく、いわゆるビッグデータIoT、インダストリー4.0を意識した生産形態にも言及していました。お題目として「計画生産」から「市場感応型生産」へとありましたが、時間がなくてこのあたりの説明は聞けませんでした。


D-1ブースでは、参考出展のNPM-DXが展示されていました。参考出展のため詳しいスペックが表記されていませんでしたが、簡単に言うとNPMを2台くっつけたような、見た目がCM602を一回り小さくしたような設備です。


ヘッドがビームの奥側に設置されていたので、手前のヘッドが奥のフィーダーの部品が吸着できるのかと聞いてみましたが、それはできないそうです。Σが可能なのでこれはちょっと残念です。

また設備中央に指紋認証デバイスが内蔵されており、登録したオペレーターでないと装置が動かなくなっているそうです。果たしてそこまで必要なのか?とも思いましたが、これをトレーサビリティとして、だれがいつ動かしたかを記録するのなら有効だと思います。

あくまでも個人的感想ですが、なぜまた4ヘッドにしたのか?せっかくNPMで小回りの利くモジュールタイプにしたのに、という疑問が払しょくできませんでした。CM602の後継の位置づけでしょうか。まだ参考出展なのでどうなるかわからないということでした。


D-3ブースでは、SPGのバージョンアップ版が展示されていました。

最大の特徴はディスペンスノズルをオプションにて増設できることです。(ノズルは1本のみです。)

この仕様はヨーロッパ圏で要求が多かったようで、微細チップに合わせて薄いマスクで印刷するため、大型のコネクタなどがはんだ不足になるのを防ぐために、そのポイントのみはんだをディスペンスするそうです。国内でははんだではなく、仮止め用接着剤を大型重量部品のリフロー落下防止のためにディスペンスすることを想定しています。ディスペンスはエアー方式でディスペンス時間によって塗布量を調整する仕様のようです。プロテックで富士が発表した、「Momentumプリンタ」によく似ていますが、富士機械は後付けではなく最初からの開発のため、2本のノズルセットや、ディスペンスに関するオプションも豊富です。ディスペンスをメインに考えるなら富士機械ですが、ちょっとした仮止め程度ならSPGのオプションでも十分でしょう。


Eブースには、新しく開発した異形部品挿入機NPM-VFが展示してありました。架台はNPMのようですが、ヘッドを挿入ヘッドにして、90度回転機構をつけ、あらゆる供給形態、ラジアル、スティック、ボールフィーダー、トレーに対応しています。

ヘッドは吸着ノズルのほかに、チャック、スイングノズルを備えています。スイングノズルは部品供給時に挿入方向が横向きの部品を吸着後に縦向き(90度回転)させるものです。

電子部品はかなりの部分がSMD化されてきていますが、コネクタなどの一部の部品は表面実装に変えられないものが必ず残ります。これらは現在数が少ないため手挿入にて対応しているところが多いと思いますが、やはり品質などを考えると自動化するほうがいいと思います。ただ現状では費用対効果の面を考えると大掛かりな装置より、簡易的で確実な方法が望まれるのではないでしょうか。

この装置が今後はSMDと挿入部品の混載を目指しているということでしたので、挿入部品の一括リフロー工法の品質安定化が望まれます。一括リフローが可能であれば、異形マウンターの後ろに置くか、この装置自体が異形マウンターとして大きな効果を生むようになるでしょう。


各ブースにはちょこちょこソリューションアイテムが展示してありました。個人的にはこちらのほうがいろいろ見ごたえのあるものがあり、例えば自動スプライシング装置や一括サポートピン治具、異形ノズルセット等、すぐに現場で使えそうなものがいくつかありました。自動スプライシングは現在8mmの紙とエンボスが可能ですが、将来的には24mmまで開発計画があるそうです。個人的には、12mmができればいいと思います。タンタルコンデンサの大きなものは大体500個で1リールなので、部品使用数によってはかなり頻繁に部品補給をしなくてはならないものが結構あります。会社によって違うと思いますが1リールあたりの収納数の関係から開発優先順位を決めてほしいものです。


今回詳しく見られなかったのですが溶接ロボットや自動搬送装置、サーボモーターなどの展示もあり、基板実装だけに特化せずに工場全体のソリューションを目指す姿勢がより強くなったと思います。特にソフトウェアに関しては、生産進捗管理や、それらに付随するERPとの連携、現場のデータ測定データや進捗情報をなどを保存して、トレーサビリティとして利用するにとどまらず、ビッグデータとして扱い、経営戦略に生かそうという思想が見えます。これらはIoTやM2Mと絡めてここ数年よく聞くインダストリー4.0への布石となるのではないでしょうか。

ただ、現場データの収集には現在メーカーごとに異なる通信仕様(ファイル構造)の標準化が強く望まれます。今回の展示でもパナソニック以外のAOIでラインを構成していましたが、今後は仕様に準拠さえしていれば、どこのメーカーでも簡単につながるようになる、ということになれば、顧客にとって大きなメリットになることは間違いありません。このことは、実装プロセステクノロジー展でも強く思いました。

また個人的にですが、現在ケーブル接続が当たり前のSMTの設備を無線にしてほしいという要望もあります。特に違うメーカー同士を接続する場合、コネクタやケーブル仕様の調整は顧客の負担となっています。

よくありがちなのがお互いがケーブルを準備しているだろうと思って手配をかけておらず、納入日になってつながらないというトラブルです。もし接続がBluetoothや、NFC等の近接無線技術で可能であるなら、工事は設定だけで済みますので、コストはもちろんケーブル、コネクタ加工の負担などもなくなり、顧客にとって大きなメリットになると思います。


展示はかなり盛りだくさんで、レポートも全部をお届けできないのが残念ですが、次回もなるべくたくさんの方に情報をお伝えできるよう努めていまいりたいと思います。

なおご意見ご感想は、掲示板にて受け付けております。また、行かれた方でこんなものがあったなどという情報もお待ちしております。

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