メタルマスクの製法と特徴

メタルマスクは、SMTの実装品質を左右する大きなパラメータの一つです。しかし案外メタルマスクはどうやって作られているのか?というのは、SMTライン従事者もあまりよく知らないのではと思います。

私も最近までよくわかっていませんでした。そこで、レーザーを中心にメタルマスクの製造工程についてご紹介してみたいと思います。

メタルマスクの製法には主に

  • エッチング
  • レーザー
  • アディティブ

の3種類があるのは良くご存知と思います。これはさすがに基本中の基本ですが、おさらいしておきます。

エッチング

低価格、短納期ですが、製法上どうしても壁面の凸が避けられず、ファインピッチの印刷には向きません。

レーザー

現在では、一番流通量が多いメタルマスクです。開口精度や板厚精度などがすぐれており、最近のものはかなり抜け性もよくなっています。コストは穴数に比例して高くなります。

アディティブ

開口壁面の平滑性が良く抜け性に優れます。板厚を自由にコントロール可能ですが、きちんと管理していないとばらつきが出ます。積層された板のため強度は弱く、メタルスキージは使えません。3種類の中では最もコストが高くなります。

レーザーのメタルマスクは、コストパフォーマンスに優れSMT業界では最も流通量が多くなっているようです。

レーザーの良い点はなんといっても、加工穴精度が他の工法に比べ良いことです。例えばエッチングはフィルムを作成し露光現像しますが、このフィルムの寸法は図面通りではありません。これはSUSエッチングを行うときに、エッチングの状態により、図面通りにフィルムを作ると余分に削られてしまうことを見越してフィルムを作っているためです。このエッチングの状態を見越して寸法を操作するには、各社のノウハウがあるようです。それに比べ、レーザーはガーバーデータを読み込んでそのままの寸法で作ります。あとは、レーザー加工機の位置精度とレーザー出力の安定性です。これらは装置に大きく依存します。

レーザー加工機はここ数年、精度、速度が急激に向上し、単位時間当たりの加工穴数が劇的に増え、それに伴いメタルマスクの価格も低下しています。メタルマスク専用のレーザー加工機は、参入メーカーが少なく数社しかありません。有名なのが日本車両とLPKFです。いずれも高精度、高速で、かなりの国内のメタルマスク専業メーカーに納入されています。

レーザーのメタルマスクの仕上がり品質は、ほぼ加工機に依存されると言ってよいのですが、レーザー出力の設定値を細かく管理しているメーカーが信頼できます。

当然ですが、レーザー出力を上げてはやい速度で移動すれば、早く加工はできますが、その分壁面が荒れます。低価格のみを売りにするメーカーは要注意です。何処とは言いませんが、

「出荷したもので穴が開いていなければ、作り直せばいいんだよ。」

と豪語するメーカーも存在します。不具合が発見される頃にはすでに何百枚も生産したところでしょう。印刷検査機で捕まえても、再制作のメタルマスクを待つ時間的無駄が発生します。メタルマスク1版の品質に対する重みを理解しているとは思えません。

今一度、購入しているメタルマスクを見直してみましょう。

レーザーのメタルマスクの開口精度は=加工機の精度と言いましたが、これは穴の位置、寸法に限ってのことです。実際の抜け性はそれだけでは決まりません。

ところで、レーザーマスクをお使いの方で、スキージ面側に刻印(レーザーで薄く文字が書いてある)がしてあるところはあるでしょうか。私のところもそうだったのですが、実はレーザー加工は基板面側から照射して開口しています。したがって、刻印は裏返してスキージ面側から作業しなくてはなりません。これをつい最近知って刻印を基板面側に変更しました。これで裏返しの作業が不要になります。旋盤やフライス盤などの加工機もそうですが、一度チャッキングしたものは加工が終わるまで外したくないですよね。メタルマスクも余計な工程を入れると、それだけ不良を誘発する可能性がありますので、即刻変更しました。刻印は段取り替えの時の識別に使用しているだけで、別に1枚印刷するごとに刻印を見ているわけではないので、どっち面にあってもそんなに問題はありません。

メーカーもそんなこと早く言えばいいのにと思いますが、刻印場所の仕様をこちらで決めたわけでなくメーカーで決めたことなので、よほど言いにくかったのか、それが当たり前と思ってしまっていたようです。

印刷の抜け性は加工機の性能だけでなく、加工機の設定および後処理に大きく依存します。加工機の設定は前述したように出力と移動速度が適正かどうかです。

レーザー加工は製法上どうしてもバリが出ます。このバリをいかに除去するかがレーザーマスクの抜け性を決める一つの要因です。

バリを取るには2つの工程があり、一つ目は機械的なバフ掛けです。これは比較的大きなバリを取るものです。もう一つは、電解液による研磨です。最近では電解研磨が良く使われます。電解研磨は主にステンレスの微細な凸は除去し、表面を平滑化させることができます。詳しい原理は私も良く分かっていないのですが、凸部分に対して研磨作用が良く働き、出っ張った部分から無くなっていくらしいです。この電解研磨によって、壁面のレーザー加工の凸凹をなくし平滑にします。


個人的にですが、私はこの電解研磨はあまり好きではありません。なぜならエッジがだれる可能性があるからです。出っ張りが取れるということは、開口部の角も取れてしまうということです。角の取れたマスクはにじみが発生します。

メーカーさんに聞いてみたところ、電解研磨の場合、液温と時間の管理が非常に重要で、私の言うように研磨をかけすぎるとマスクの角まで取れてしまうので、かけすぎるのは厳禁、かけないと電解研磨の意味がない、ということでした。相当のノウハウがここに詰まっているようです。

バリ取りや、研磨の終了したメタルマスクにさらに、表面処理を行う場合があります。そのほとんどはテフロンコーティングが行われているようです。

テフロンコーティングは、フライパンと同じようにフッ素樹脂をメタルマスク基板面に薄くコーティングするもので、その撥油作用により、フラックスとの摩擦を小さくして、抜け性を向上させるものです。

メーカーによって素材や工法がいろいろあって、効果の大小がメーカーによって大きく異なります。中にはコーティングが厚くなりすぎたり、エッジのダレを発生させたり逆効果になる場合もあるので要注意です。私の経験では1社のみ特殊なコート技術を持つ会社があり、そこの透明な液体テフロンのコーティングに関しては、大きな効果が認められました。5年ほど前から量産使用しており、当時作成したメタルマスクも現在も問題なく使っていますので、耐久性もほぼ問題なしと考えて良いでしょう。