第20回実装プロセステクノロジー展

昨年に引き続き、JISSO PROTECに行ってきました。

今年は、西展示場での開催です。やはり展示スペースは狭まっていました。スペースの関係もあり、出展企業数も減ったように思います。マウンターメーカーでは、Panasonic、FUJI、YAMAHA、JUKIはいつも通りの出展ですが、東展示場での開催に比べやはりスペース的に厳しいものがあったのではないかと思います。

 

展示内容ですが、共通していたのは、省人化、自動化の推進でしょう。実装工程はFAとは名ばかりの手間のかかる工程です。他の業種はそんなに詳しくないのですが、自動機械なのに段取りを含めこんなに人手がかかる業種も珍しいのではないでしょうか。

昨今の人手不足や今後も避けられない人口減少に伴う労働力不足を補うためにも、自動化の推進は必要ですので、メーカーもそういった社会の要求にこたえる形で展示がなされていたと思います。

 

各社いろいろ展示がある中で最も注目を浴びていたのがFUJIです。

今回発表された、NXT-Rは人だかりができていました。

写真撮影NGなので、画像はこちらで見てください。

https://www.robot-digest.com/news/?id=1557827969-068147

 

マウンターのフィーダーベースの手間に細長い棚のようなものが見えますが、これがフィーダーの脱着ロボットです。スマートローダーと言うそうです。このスマートローダーが左右に動き、マウンターからフィーダーを抜き差しします。

フィーダーもこれまでのような形ではなく、真四角なフレームの中にリールが収まったカードリッジタイプになっています。

展示されてた設備では、マウンターの一番左側に、フィーダーを収めたボックスがあって、そこから次段取りの部品を取り出したり、生産が終わった部品を収納したりします。このボックスは倉庫から搬送ロボットが持ってくるか、人が台車などで運んでもいいそうです。

マウンターの下部にもフィーダーを置くスペースがありますが、この部分はベースバッファと呼ばれる部分で、そろそろ部品がなくなりそうだとか、一時的に部品を置いておくとか、なるべく部品移動を少なくするためのスペースだそうです。もちろんどこに何を置くかはシステムが自動的に考えてくれるそうです。

説明員に聞いたところ、フィーダーへの取り付けは現状では人間にやってもらうことになるが、近い将来その部分も自動化したいということでした。

 

SMTラインで一番面倒な部品段取り、部品補給などを完全自動化できるこのシステムは、SMTラインにおける自動化の回答の一つでしょう。他メーカーもかなり気になるようで、他社のスタッフカードをぶら下げた人もちらほら見かけました。説明によれば、来年度から発売予定だそうです。

 

もうひとつ気になる展示が、入り口入ってすぐのところにあった、ELS実装デモラインです。このラインは、JUKI→Panasonic→FUJI→YAMAHAの異なるメーカーのマウンターで構成され、それぞれが新しい通信(規格規格番号:JARAS1014、略称ELS)で接続されています。詳細はこちら。

https://www.jara.jp/news/2018/180612.html

https://www.jara.jp/various/standard/img/jaras1014_release.pdf

https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1906/06/news054.html

 

デモンストレーションでは、異なる基板品種を3種流していました。

先頭工程でバーコードを読み取り、基板情報をローダー(YS製でした。)にまず流し、幅調が行われます。その情報が次のマウンター以降に順次送られ次々と段取り替えが自動で行われます。(部品段取りは共通化されており固定です。)

基板Aの投入直後、基板Bを先頭工程から投入すると、後ろのマウンターはAを打っていますが、頭の工程ではBを打ち始め順次切り替えて実装されていきます。

従来では、メーカーが異なるとこんなに簡単に自動段取り替えできませんでしたが、この通信規格では説明にあるように、

  • M2M PCB情報受け渡し
  • M2M 機種切り替え
  • 検査機の結果データ連携
  • M2上位PC 通信

が行え、情報を設備間でやり取りすることにより、より簡単に自動段取りや検査情報の受け渡しができるようになりました。

手前味噌ではありますが、この構想自体は、2015年にこちらの記事で指摘をさせていただいております。

個人的にはようやくかという感じもしますが、異なる設備間でのシームレスな情報のやり取りにより、本格的にM2Mの時代が到来するのではないでしょうか。

 

今後、各メーカーにとっては、今度はユーザーの囲い込みができなくなるということでもあります。共通化された規格を積んでいなければユーザーに選んでもらえないが、共通化されているがゆえに、メーカーにこだわる必要がなくなる、ということです。ユーザー側としては望ましいあるべき環境が実現されつつあり歓迎すべきですが、これからさらにメーカー間の競争が激しくなるのではないかと思います。