段取り替えとは機種切り替えとも言い、生産ラインを流すワークに合わせて、部品の交換変更や、装置の設定を変更するものです。どんな設備でもその仕事は存在しますが、特にSMTラインではその内容が非常に多岐にわたり、管理者とオペレータのスキルが問われる部分でもあります。おそらく段取り替え(機種切り替え)はSMTライン担当者なら誰しもが悩む問題でしょう。
もう段取り替えの改善などやりつくしている感の人たちが多いと思いますが、あえて復習という意味で考えてみたいと思います。
段取り替えと一口に言っても、内段取りと外段取りの2つに分けられることはよく知られています。
内段取りとは、装置を止めなければ行えない作業を指します。
印刷機であれば、メタルマスクの入れ替え、スキージの交換、サポートピンの交換等がこれに当たります。
一方外段取りとは、設備を止めないでもできる準備作業を指し、マウンターであれば次機種のフィーダーのセッティングや部品台車(カート)への取り付け等がこれに当たります。
段取り替えを効率化するには、作業そのものを短時間で行うか、内段取りを外段取り化するしかないでしょう。
作業そのものを効率化して現状より短時間で行うのはとても大変でしょう。現状でも乾いたぞうきんを絞るがごとく様々な改善を行っていると思いますし、多大な工数をかけてわずかな効果しか得られなければ本末転倒です。それに引き替え、内段取りを外段取り化する方法は少額の投資で大きな効果が得られる可能性が大きいです。
例えばサポートピンなどその最たるものです。設備を止めて1本1本交換するより、サポートピンベースを複数作成しておき、外であらかじめ立てておき、ベースごと取り換えることにより、設備停止時間を短くします。
ラインで見たときに段取り替えに一番時間がかかるのが、やはりフィーダーのセットアップでしょう。最近はモジュラーマウンターで、フィーダー台車にフィーダーをセットして一括でセットする工夫はなされていますが、フィーダー台車とフィーダーが潤沢になければ絵に描いた餅です。余談ですが、モジュラー機の売りの一つとして面積生産性が挙げられることが多いのですが、台車の面積、入れ替えのスペースを考えると、意外と専有面積は大きく、カタログ通りにいかないことは注意すべきです。
部品配置に関しては、マウンターメーカーのソフトウェアにより共通部品の共通配置化は従来より提唱されています。部品の共通配置は複数の基板品種から共通部品を探し出し、それを同じフィーダー番号にしてしまい、段取り替えを少なくしようというものです。
確かに部品を動かさなくていいわけですから、その分段取り替えが早くなります。しかし、様々な要因により完全な共通配置が難しいのが現実です。例えば、すべての部品が自達でない場合、顧客から支給された部品はたとえ同じ乗数で同じ部品でも、お客さんごとに違うものとして取り扱わなければならず、共通とはできません。
共通配置は基板品種をグループ化して行います。マウンターメーカーではよく1か月分などをシミュレートしてくることが多いのようです。1か月で生産する基板品種を似た者同士集めてグループ化して、共通配置を決めてしまうというものです。
ところが今の世の中そんなに先のことはわかりません。突然飛び込みで仕事が入ることもありますし、顧客の要求で、当初の計画から違うものを優先してほしいなどの、依頼も数多いでしょう。そんな時はグループ化された共通配置は、段取り替えに対して逆効果となる場合がありますので注意しましょう。
部品の共通配置はその有効性は認められるものの、完全に実施するのはなかなか難しいものがあります。共通配置はできなくても、フィーダーに取り付けられた部品がどこで使われているかの一覧表を作ることはお勧めできます。縦軸に部品名、横軸に基板品種、中身をフィーダ番号(配膳番号)にして一覧表を作ります。
EXCELの例
頑張ればピボットテーブルでもできそうですが、これはマクロで作りました。
ACCESSの例
クロス集計クエリで簡単にできます。
このような集計表を作っておくと、「あれ何処で使ったけな」という場面で非常に役立ちますし、これからの予定を見て、フィーダから部品を外すべきか、つけておくべきかの判断材料にもなります。